Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

第9回全国小学生倉敷王将戦(9)

ステージ上では,事前の指示に従って,長男が振駒をすることになった。


長男が後手。後手のほうが好きだ,という長男からすれば歓迎だろう。


しかし,ステージ上の長男も,相手のK君も,さすがに緊張感が見られる。▲7六歩△3四歩▲6六歩で,振り飛車模様となる。


倉敷の大会の数日前,小さなメモ用紙に,

四軒飛車 天守閣みの
三軒飛車 みのから銀かんむり
向かい飛車 穴熊
ゴキ中 丸山ワクチン
横歩 3三角


というメモを用意していた(原文ママ)。これは,相手がとってきた戦法に対し,自分がどういう対応をするのかという作戦を練ったものだと思われる(それにしても,いくら三軒茶屋道場に通うからといって「三軒飛車」はないと思うが・・)。


その後,メモでの作戦のとおり,長男は天守閣美濃に組み上げ,K君は美濃囲いへ。長男は,右銀を5三から4四へと繰り出し,角を3一へと引き,8五歩と,仕掛けの準備をすると,31手目,K君は,飛車を8筋へと回した。


長男は,すぐに仕掛けられないとみるや,4四の銀を3三へと引き,4四歩,4三金と固くする。K君も,2六歩から銀冠へ。持久戦の様相。


先に仕掛けたのは長男で,7筋の歩を伸ばして,7五歩から,角を使って歩を交換した。さらに右桂を繰り出し,飛車を6筋に回して,突破を狙ったが,K君の飛車も6筋に回ったため,突破が難しい。そこで,50手目,△7八歩▲同飛の手筋の歩で,飛車の位置をずらした後に,△6四歩から再び仕掛ける。


ただ,△6五桂で,角を狙って跳ねたものの,こんどは▲9五角と出られて,6二の飛車に当てられる。9筋の歩を互いに突いていなかった。飛車が7二に回ってよけたが,今度は7筋に回っていた相手の飛車先から7筋を破られることになる。結局,この初手7六歩で突かれた7筋の歩は,7三で「と金」となり,最後は5一まで遠征して,金と交換するという大活躍を見せることになる。


飛車角交換から,何とか馬を作って,攻めの形を作ろうとしたが,K君に二枚の龍を作られる苦しい展開。そのまま得意の攻めを出すことなく,97手目の▲3一龍で,「縦の一間龍」の形を作られて,投了。


時間は,それなりに使っていたようだが,秒読みに突入することもなく,お互い残りは1,2分だったようである。


互いの実力からすると,順当な結果だったといえるが,差が開いた展開だっただけに,悔しい敗戦でもあった。しかし,二年生の準優勝は,立派,立派。


対局を終えると,すぐに高学年の決勝。これは,おなじみの小学生名人Y君と,神奈川のK君。こちらは,1時間近く使った大熱戦で,Y君が小学生名人に続いて見事,二冠達成(同一年度での優勝は史上初ではないか?)。


賞状と,カップ,そして,有吉九段,里見倉敷藤花,菅井四段の色紙,大山十五世名人の扇子をいただいた。表彰式後の控室では,里見先生との写真も撮らせてもらった。


表彰式での有吉先生の講評中,かなり落ち着きなく足をブラブラさせていたのには参った。念力と眼力で,「やめろ」「まっすぐ座れ」というメッセージを送り続けたけれど,たまに視線が合ってもまったく意に介することはなかった。この点,高学年の皆さんは姿勢もよく,落ち着いている。さすが。


最後に,この大会は,長男だけでなく,家族みんなが楽しむことができた。それは,ここまで遠いところまで来ても,たくさんの友だちがいて,いつもと同じ気持ちでリラックスして臨めたおかげだと思う。そして,先日の合宿をやって大会運営の大変さが多少なりともわかったこともあり,主催者,スタッフのみなさんの苦労もわかるし,今まで以上にありがたみが湧いた。


今年は2年生で準優勝だったから,来年は当然,もう一歩上を目指すことになるけれど,そもそも東京都の代表になるところから大変だし,今回のようなツキに恵まれるとも限らない。これから1年,さらなる努力が必要だろう。