Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

二歩の経験

日曜日,道場に長男を迎えに行った時の対局が印象に残った。


夕方6時ころに迎えに行ったところ,「これから一局始めるところだから」と,長男と,相手のYくんに言われた。せっかく,強豪のYくん(三段,小三)とやれるのだから,まあ,一局見てみるかと思って,「これが終わったら帰るよ」といいつつ,対局を眺める。


戦型は一手損角替り(長男が先手)。チェスクロックを入れているものの,子ども同士の対決なので,パッパッと進んでいく。優劣は私には判別不能だが,途中で先生が覗きに来たときのしぐさからみて,長男が有利なんだと読み取った。気づいたら終盤になり,長男がわかりやすい詰めろをかけた。


後手には豊富な持ち駒があり,受けようと思ったら受けられそうだったが,それでも一手一手になりそうな感じ。Yくんは,受けるのではなく,「これ詰むんじゃない?」といいながら,そこから怒涛の王手ラッシュ。私の感覚では,先手玉は安定していたので,到底詰みそうになかったのだが,うまい具合に追い込んでいって,なんだか詰みそうな感じにも見えてくる。


途中で,長男も慎重になり,なんとかトン死をしないように,両者秒読みを最大限使いながらの死闘となる。そして,Yくんの駒台にたくさんあった駒は,気づいたらだんだん長男のところへ溜まってきた。こうなると,後手玉は単なる詰めろではなく,必死のはず。だから,詰ますしかない。


Yくんは王手をかけ続けるが,長男の玉は右へ左へ,上へ下へと交わしたり,何度か駒を清算しているうちに,だんだん私から見ても詰まなさそうな感じになってくる。そして,最後の清算をして,長男の玉は,ほとんど裸玉になったが,駒台には乗りきらないほどの持ち駒。Yくんの駒台には飛車が一枚だけ。


こうなる前に投了となるのが通常だろうけれど,そこは子ども同士の対局。最後に残った一枚だけの飛車を2九に打ち降ろす(玉は5九)。どこへ逃げても,もう詰まないが,長男は,そこで無造作に手にした歩を4九に打って合い駒した・・・


「あー,二歩。勝った〜。」と大声のYくん。しかし,その直後に,「あ,喜びすぎちゃった」と,フォロー。


長男は,せっかく追いつめたのに強豪のYくんに勝てなかったこと,その原因が二歩にあったことの悔しさから,茫然自失となる。


まぁ,こういうときって父親としては,フォローに回ってやるべきなのだろうな・・と思ったが,あまりに落ち込んでいるので,ほとんどかける言葉もなし。


よく考えてみれば,長男は二歩が多い。前も大会で二歩をやって負けている。毎回,相当ショックを受けているんだろうけど,良くも悪くも忘れてるんだよなあ。