Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

忙しくなると・・

弁護士業務の一つ,特に公益的活動として刑事弁護がある。


もともと刑事弁護を専門的に取り扱う予定はなかったが,ロースクールや修習時代を経て,実務に出てからも,できるだけ刑事事件には積極的に取り組もうと決めていた。


だからこそ,任意で,被疑者国選のA名簿と呼ばれる裁判員対象事件の重たい事件が回される名簿にも搭載してもらうよう,手を挙げておいた。


A名簿に登録されると,当番日のようなものが割り当てられる。その日に出動要請があると,国選で被疑者弁護を担当することになり,そのまま起訴されれば公判も担当する。裁判員対象事件の場合は,相当負担が重いはずだ。


これまで一度だけ当番日が回ってきたが,その日は,裁判員対象事件ではなく,通常事件(とはいっても,たまたま報道されるほどの事件だったが)が回ってきた。なので,実際に裁判員対象事件の経験はない。


その約半年後,まもなく次の当番日が回ってくる。


しかし,最近の仕事の状況を見てみると,とてもではないが,満足いく弁護活動ができるほどの時間が確保できそうにない。決して刑事弁護スキルが高くもなく,経験も乏しい中で,重大事件を引き受けてしまうことの影響を考えて,やむなく当番日を別の方に引き取ってもらうことを決意した。


本当は,こういうことはしたくなかったので,なんだか強い敗北感を感じたが,仕方ない。


引き取ってもらうにはどうすればよいか。私が所属する弁護士界には便利な仕組みがあって,メーリングリストにその旨をポストすると,「引き取るよ」という人が連絡をくれる。毎日数件の引取依頼があるが,ほとんど即時に引き取り手が見つかる。自分の場合,A名簿なので,ちゃんと引き取ってくれる人がいるだろうか・・と心配したが,引取依頼メールを送って5分以内に2名の方から「引き取ります」という連絡があった。こういうときはとても助かる。