ちょっと前に提訴したというニュースがあったが,その第一回口頭弁論があったようだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091210/trl0912101303002-n1.htm
問題となっている釣りゲームをやったことも見たこともないし,最近はやりのソーシャルゲーム*1というのがどういうのかわからないからコメントしにくい。しかも,上記ネットニュース以外の資料にはまったく当たっていないので的外れな話かもしれないが,ちょっと考えてみると・・
訴状などによると、釣りゲータウン2は、トップ画面や釣り場の選択画面、魚を釣るまでの過程の構成などが、平成19年にGREEで配信開始した「釣り★スタ」と酷似しており、著作権侵害や不正競争防止法違反に当たるとしている。
この種の問題で著作権侵害を主張する場合,何が著作物に当たるのか,というところを決めるところからして難しい。一般によく誤解されていることだが,著作権法で保護しているのは「表現」であって,「アイデア」ではない。だから,アイデアを模倣しても著作権侵害にはならない。今回の場合,比較的単純なゲームだと思われるから,かつて三国志事件などのように「映画の著作物」(著作権法10条1項7号)にあたるという点で争うことは難しそうなので,表示画面またはその画面の構成といったところで争われるのではないかと思う。
なお,プログラムの著作物(同9号)という考え方もあるが,この場合,DeNAがGREEのソースコードを持ち出したり,まねしたりしたということはないと思われるので,その点も考えにくい。
過去に,表示画面や画面構成が著作物に当たりうるということを示した判例はある(サイボウズ事件,積算くん事件等)。しかし,その場合でも著作物の要件である創作性を認めるハードルは高い。一般人の感覚からすると,そっくりな画面であったとしても,それはスケジュール管理画面などの場合,「誰が作ったとしても同じ」であるとして著作物にあたらず,したがって著作権侵害に当たらない可能性もある(現に,サイボウズ事件判決では侵害を認めていない。)。
本件の場合,釣りゲームというものにどれだけ創作性の入る余地があって,かつ,類似性,依拠性といった複製・翻案権侵害の要件が認められるかどうかがポイントじゃなかろうか。
ただ,明らかに「パクリ」によって,顧客を奪い取ろうとした場合には不法行為が成立する余地もある。ただ,その場合,差止請求はできず,損害賠償請求にとどまる。