Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

これも一局

将棋用語にはさまざまなものがあるが,私が当初あまり理解できなかった言葉に「これも一局」というのがある。


勝負が終わった後に行われる感想戦などで,「ここでこう指せば・・」「あのときこうしていたら・・」などと実際の指し手(「本譜」といわれる)と異なる分岐を進めていった結果,「これはこれでいい勝負だったね」などという暫定的な結論が出たときに「これも一局だね」と言ったりして使う(私の理解が違っているかもしれないが)。


この言葉がなかなか便利なので,実社会でもついつい使いたくなってしまう。


仕事でも,依頼者からの相談に対し,静観すべきか,攻撃すべきか・・などと検討した挙句,何らかの助言をして,事は進んでいく(本譜)が,本当に当時の判断,助言が正しかったのかどうか,後から振り返って考えてもわからないことがある。事後に得た情報に基づいて判断すると,別の判断も案外悪くなかったかもしれない,そんなときに,「これも一局かな」と言いたくなるときがある(ちょっと違うか)。


もうちょっと広い意味では,今から6年前に,仕事を辞めてこちら側の世界に身を移す決断をしたことについても,今となってはどっちがよかったのかわからない。やはり「これも一局」か。


ただ,素人が,あんまり将棋用語を日常会話で使いまくったりするのもどうかと思うので,使わないが(プロ棋士のブログにはいろいろ登場しているけれど)。