Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

卒業後の進路(9)

合格発表も終わったことだし,忘れかかっていた話の続き。


これまでの内容。


その(8)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090903/1251988062

その(7)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090814/1250259148

その(6)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090810/1249907780

その(5)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090726/1248613492

その(4)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090721/1248187670

その(3)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090718/1247927278

その(2)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090716/1247756377

その(1)

http://d.hatena.ne.jp/redips/20090715/1247585905


前回から「調査」フェーズの話を開始したが,中でも今回は,「供給側」の情報修習である。


ここは,やはり弁護士など,実務をやっている人から直接情報を得るのが確実である。自分のやりたいと思った領域をやっている人に話を聞いてみる,これが一番良い方法だ。


具体的に対象の人を見つける方法としては,

  • 知り合いのツテをたどる


というのが一般的だが,「一般民事」などを志望する場合は別として,ツテをたどっただけでは見つからないこともある。そこで,

  • 気になる論文・書籍の著者に直接アタックする


という方法が一番近道だと思う。私自身,それまで20通ぐらい履歴書を送ってもほとんどなしのつぶて状態だったのだが,この方法で数人の弁護士にコンタクトを試みた結果,ほぼすべての先生方が実際に会って話をしてくださった。そして実際に現在所属する事務所もこの方法によって見つけた。


もちろん,全然知らない人に連絡をするのだから,こちら側が緊張するのは当然だが,相手方への配慮はもっと重要である。ただやみくもに「先生のやっていることに興味があります。話を聞かせてください」とやってしまうだけでは,忙しい人たちに相手にされないどころか,「変な人」と思われる可能性もある。ただ,この世界は,司法修習制度がある所為か,意外に見知らぬ後輩たちに対する愛情があり,冷たい対応をされたことはなかった。


この方法で運良く会って話をさせてもらえることになれば,何十人も集める説明会に出席するより何百倍も得られる情報が濃い。仮にその先生の事務所で採用の予定がなくとも,その分野の具体的仕事内容などを聞かせてもらえるのはためになるし,運が良ければ,別の事務所にコンタクトを取ってもらえる可能性もある。


おそらく,現在のように大量合格,大量採用の時代になる前は,ほとんどの修習生たちは,個別にツテをたどったり,その業界に強い弁護士を探したりしながら,働き口を探したのだと思う。そうだとすれば,私がここで提案している方法は,別に新しいわけでも何でもなく,むしろ古い手法かもしれない。だが,修習生やロースクール卒業生にこの話をすると,すごく奇抜な方法を発見したような反応をされるので,みんなが同じやり方で同じ方向に向かっているからこそ,競争が激化してしまったのだなあと感じる。