Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

卒業後の進路(3)

というわけで,前回の続き。「目標設定」が重要だという話。


司法試験終了後,ほとんどの受験者は,就職のことを考え始め,また,行動を始める。ただし,そこで,しっかりと「やりたいこと」を決めていないと,

  • 周りの動きに焦ってしまい,振りまわされる。
  • やたらといろんな法律事務所や企業に応募しまくる。
  • 面接で取ってつけたような応答をする。


ということに陥りがちである。


やりたいことの軸があれば,知り合いから,「もう●●系事務所は,説明会の案内が出ている」という情報を聞いても,慌てたりする必要はあるまい。


かつては,事務所の説明会に行くと,懇親会でごちそうが出る,などという話もあったが,そういった経費も削減されつつあるだろうし,メシ代が浮くことよりも,時間のほうが大切ではないだろうか。


法律事務所の面接では,グループ面接的なこともたまに行われるが,私が見たところでは,質問に対して事務所のウェブサイトに載っていたようなことを一生懸命しゃべっている人が少なくなかった。事務所のビルの一階ロビーでは,ウェブサイトをプリントアウトした紙を読んでる人もよく見たものだ。見ないよりは見たほうがよいに決まっているが,ウェブサイトに載っていることだけをしゃべる人が魅力的に映ることはあるまい。


というわけで,就職活動をするにあたっても,「自分のやりたいことを決める」という当たり前のことが,やっぱり重要である。


もっとも,「まだ実務の世界をよく知らないうちから,やりたいことを絞るのは視野を狭める結果になり,よろしくないのでは。間口は広く取るべきであろう」という指摘は当然に考えられる。確かに,コンサル会社時代に,新人が,「ぼくはホントはもっと戦略策定やグローバルビジネスにかかわりたかったんです」などとのたまわれると,「何も知らないくせに」とか,「やる気がないなら来なくてよろしい」という気持ちになったりするものだ。



だが,私は「やりたいことを決める」ことが,「それ以外のことはやらない」ということにはならないと思う。たとえ与えられた仕事が,やりたいことから外れていたとしても,当然プロである以上,それをしっかりやるべきであるし,やりたいことをアピールしたり,その分野に関する知識を密かに深めたりすることで,働くモチベーションが維持できるのなら,それはそれで素晴らしいことだろう。


なので,やりたいことを決めることがマイナスに作用することはない(マイナスに作用させてはいけない)と思う。