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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

平成21年新司法試験短答結果

6月4日に短答試験の結果が発表された。この時点で,すでに受験した論文が採点されるかどうか(足きりになるか)が決まる。


http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHINSHIHOU/h21kekka02-1.pdf


短答試験じたいの合格率は,約68%だったようだ。ただし,ロースクール別にみると,だいぶバラツキが見られる。


足切点は215点だったようで,昨年は少し上がったものの,以前の水準に戻ったといえる。もっとも,今後は,論文の配点割合が高くなるので,300点ほどの高得点をたたき出したとしても,それほど強烈なアドバンテージにはならなくなる。


もっとも,上記の合格率の分母は,受験者数となっており,出願者数ではない。受験率(受験者数÷出願者数)は,約76%なので,これを掛け合わせると,出願者に対する短答試験合格率は約52%まで低下する。


しかし,受験率が76%だったということは,試験会場では空席がかなり目立ったであろうことが予想される。実際に受験した人から見ると,かなり勇気づけられたのではないか。私も,ロースクールの受験のときは,もともとかなり高い倍率(確か20倍以上)だったが,二次試験のときに東大の入試と重なったためか,かなりの欠席者が出て,これはいけるのではないか?と感じたものだった。


話は変わるが,受験率もロースクール別にみると大きくバラついているように思える。母校はこれまでよりは下がったと思うが,まだ約92%と高い。他方,京産大は51%,信州大は50%,福岡大は48%など,約半数も受け控えしたところもある(出願そのものを回避した受け控えもいると思われる)。


実際にロースクール卒業して出願しても,司法試験の受験を回避する人が半分もいる学校は,健全とは到底いえない。最近,ロースクール定員の削減を求める声がだんだん強くなり,大学側も応じつつあるようだが,こういう状況に照らしても仕方ない。


もっとも,ロースクール定員を減らす目的がよくわからない。「司法試験の合格率が低い」→「魅力的な人が集まらず,法曹全体の危機」→「受験者数を絞り込んで合格率を高くする」→「入口のロースクール定員を減らす」というロジックなのだとしたら,単なるまやかしにすぎない。他業種から移籍してもらいたいような「魅力的な人」からすれば,小手先の改革はすぐに見破られるだろう。