昨日の将棋スタジアム,ちょっと奇妙な光景がみられた。
午後の予選リーグ敗退者による勝ち抜き戦の第1局目の相手は,小学校高学年と思われる男の子だった。対局場の近くに行くことはできないのだが,二階席の最前列から身を乗り出してみると,具体的な局面が見えるほど近かった。しかし,その子はあまり対局マナーがよろしくなく,何度か一度指した手をやり直したりしていた。さすがに長男が次の手を指した後でやり直したりはしていないが,前日書いたように,長男は超早指しだったので,長男の手の動きを察知してやり直すなどをしていたかもしれない。そういうことをなくすためにも,超早指しはやめるべきだろう。
しばらく席をはずしていたら,対局の様子を眺めていた妻が,「何やら様子がおかしい」と呼びにきた。私も眺めてみると,対局が終わってないにもかかわらず,ふたりがずっと話をしている。会話内容は聞こえないが,談笑という感じではない。どちらかというと口論に近いかもしれない。
そしてしばらくすると,なんと,おもむろに長男が,盤上の駒から歩を5枚取り出して,振り駒*1をしている・・・?
もしかして,
「次,オレの番だよね?」
「ちがうよ,こっちの番だよ」
「え?さっきそれ指したじゃん」
などと,手番がわからなくなって,振り駒で次の手番を決めようということになったのかもしれない。
しかも,振り駒は1回にとどまらず,なぜか3回もやっている。そして振り駒が3回終わったところで二人揃って手合い係(スタッフ)のもとへ行った。結局,よくわからなかった。
あとで,長男に説明を求めたところ,そのいきさつは以下のようなものだったらしい。
対局中に,その子は,帰らなくちゃいけないことになって,とりあえず「早指し」で終わらせようとしたが,それでもなかなか終わらず,いよいよ帰らなくちゃいけなくなった。そこで,その時点での勝ち負けを決めなければならなくなったところ,長男は,「審判を呼んで,優勢な方を判断してもらおう」と主張したのに対し,相手の子は「振り駒で決めよう」と主張したため,議論になったらしい。
上から私が見ていた感じでは,確かに,長男優勢だったから,そう主張するのもわかる。そして何より驚いたのは,自分よりだいぶ年上の子に,上記のような主張をしたということだ(ちゃんと相手に伝わっていたのかは不明)。しかし,結局,押し切られ,「振り駒3回勝負」というところで落ち着いたらしい。なるほど,だから対局中におもむろに3回も振り駒をやったというわけだ。
振り駒の結果,2対1で長男が勝った。だから,勝ち抜き戦3勝2敗のうち1勝は,このような結果もたらされたものだった。
*1:将棋で先手後手を決める方法。「歩」を5枚投げて,「歩」の面が多く出ると,振った人が先手となり,「と」の面が多く出ると,もう一方が先手となる。この方法はプロの対局でも行われている。