隔週末に近所の図書館に行って子どもの本を借りてくるのだが,その中で借りた一冊。
- 作者: 瀬川晶司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/21
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
毎回,長男は2冊ずつ将棋の本を借りてくるのだが,同じ書架にあったので思わず手に取ってみた。
著者の瀬川さんがプロ棋士になったときのことは,一般紙でも報道されていて,当時将棋に興味がなかった自分でも,「サラリーマンから特別措置でプロ棋士になったんだ」ぐらいの認識はあった。この本では,将棋を始めた時のことから,奨励会での苦闘,挫折,そしてサラリーマンから再びプロ棋士への挑戦・合格までの道のりが書かれている。
小学生の頃からのライバルの話,高校のときの同級生の女の子の話など,なんとなく懐かしさを感じさせるエピソードもありつつ,奨励会を年齢制限によって退会しなければならなくなるまでの過程における絶望感・虚脱感,そしてそこから再び「ありえない」道を開こうと立ち直るときの心理状態に関する深い描写もあり,楽しめるところがたくさんあった。
読みやすくてわかりやすい文章。将棋に関する本であるが,棋譜や盤面の図は一度も出てこない。将棋の素人でも「将棋は二人で対戦するゲーム」という程度の知識があれば,十分内容についていける。思わず引き込まれてしまって,1日で読みきってしまった。
話には聞いたことはあるが,奨励会での厳しさに関する記述は,かなりリアルだ。「万が一」長男がこのまま将棋熱が冷めず,順調に強くなっていったとしても,そんな世界に身を投じようとしたら,親としては躊躇するだろう――と思わせるぐらいの厳しさ。まあ,そんな心配は取り越し苦労になると思うけれど。