あらたに「子育て」から「将棋」というカテゴリを独立させました。
将棋本は,気づいたら長男にせがまれたものでなくとも,自然に本屋で手にとって買ってしまっていることがある。
この本は,先日,本屋の囲碁・将棋コーナーで偶然目に留まり,思わず買ってしまったものである。
- 作者: 羽生善治,松原仁,伊藤毅志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/08/24
- メディア: 単行本
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内容は,将棋コーナーに置いてありながら将棋本ではない。だから,読了しても,将棋が強くなるわけでもない。
著者の一人は,私が学部4年だったころ,同じ研究室でドクターだった方で,はじめは単なる同姓同名か?と思ったが,著者紹介を見てみて間違いないことを確認した。私が所属していた研究室は,認知科学や人工知能を研究対象にしていたが,本書は,羽生さんの発言を題材に,2名の科学者が,その思考法や訓練法を認知科学的・人工知能的なアプローチで分析を試みようとしたものである。
その中で,羽生さんは「言語化の重要性」を説いている。一方,認知科学的にも,思考を言語化することが学習に有効なようである。自己の考えをモニターし,それに言語というラベルを貼り付けることで,さらに理解が進み,これを繰り返すことで知識が深まり,そして定着するという。
羽生さんの場合,多くの人からインタビューを受け,そのつど自己の考えを整理して言語化する機会が他のプロ棋士よりもあったはずで,ますます,知識の体系化や定着が進むという良いサイクルが生まれているんだと思う。
そういえば,ロースクール生のころは,勉強に対する考え方などを,よく当ブログに書いていた。何となく考えていたことだから,簡単に書けるかな,と思いきや,なかなか文章にしづらかった記憶がある。それで,このネタは書くのやめた,と思ったことがたびたびあるが,実際に拙い文章ながらも書き終えてみると,妙にすっきりしたような気がする。
試験後,合格後は,多くの人から話を聞かれる機会があり,どういう勉強をしたか,どういう精神状態だったか,ということを,いろいろな場で説明を試みた。実際に口に出したり,文章にすることで,「そういえば,あのとき考えていたことは,こういうことだったんだな」と気づかされることもあった。
話がそれていってしまったが,本書の「言語化の重要性」に関する記述は,大きくうなづかされた部分である。