Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

決断力

羽生善治著「決断力」を読んだ。この本は以前から書店でよく見かけていたが,敢えてこのタイミングで手にとったのは,やはり長男が将棋に没頭しだしたことがきっかけである。


決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)


タイトルのとおり,意思決定に関する考え方等が紹介されており,自分自身を振り返ってみて考えさせられる部分が多々あった。


最後の章では,これから棋士を目指す人(さらには,より一般化して,何かを目指そうとする人)向けのメッセージが書かれていた。


その中に,

どの世界でも,教える行為に対して,教えられる側の依存度が高くなってしまうと問題である。将棋は,自分で考え,自分で指し手を決めていくものだ。誰かに教わってそれをそのまま真似たり,参考にしてやっていくことが習慣化してしまうと,局面を考える力は育たなくなってしまう。(177頁)


定跡を覚えるのが一つの勉強方法だ。それは前に通った先駆者の航路だが,真似てみることは大切だ。誰でも最初は真似から始める。
しかし,丸暗記しようとするのではなく,どうしてその人がその航路をたどったのか,どういう過程でそこにたどり着いたのか,その過程を理解することが大切だ。
(中略)
個人のアイデアは限られている。何かをベースにして,あるいは,何かをきっかけにしてこそ新しい考えがいろいろ浮かぶ。「真似」から「理解」へのステップは,想像力を培う基礎力になるのだ。(183-184頁)

という記述があったが,強く共感するとともに,こういう気持ちを自分自身が何かを目指すときにも,そして,子どもたちに何かを学ばせるときにも,忘れないようにしなくては,と思った。