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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

就職活動(9)

フェードアウトしそうな「就職活動」に関する一連のエントリだが,今回は「面接」を取り上げる。


昨夏から秋にかけて,個人,集団を含めていくつか法律事務所の面接を受けたが,個人的な印象としては,厳しさを感じることはほとんどなかった。


というのも,質問の内容がどこの事務所でも聞かれそうなもので,事前に答えが準備できそうなものだったり,単に経験した事実を答えさせるものであったり,逆に質問の意図がよくわからないものであったりで,土俵際まで追い込まれる感覚や,がっぷり組む感覚はあまり生じなかった。


おそらく,法律事務所の採用プロセスにおいて,面接というものはそれほど重要なファクターではないのかもしれない。どちらかというと出身校,成績,経歴等の外形的スペックで採否はほとんど決まっていて,面接は雰囲気・フィーリングを確認しあう場なのではないかと感じさせる。現に和気藹々の雰囲気の面接が多かった。


コンサル会社で過去に数十人の中途採用面接を行った経験からいえば,採用面接(特に第一次面接)のインパクトは非常に大きかった。履歴書,職務経歴書などの記載内容はもちろん重要だが,職務経歴などはいかようにも書けるもので,その経歴の実質的な価値は面接してみないとわからないからである(もっといえば,2,3度面接したぐらいではなかなかわからない)。だから,一度の面接が1時間以上になることは通常だったし,面接する側としても,ナメられないように,事前に送られてきた職務経歴書をよく読んでツッコミどころを準備しておいたものだった。


今回,数名同時の面接も何度か経験したが,定型的な質問を各人に答えさせるというケースが多かった。例えば,「当事務所を希望された理由は何でしょうか」という質問に対し,

「私は,学部時代,会社法のゼミに所属した頃から企業法務に興味がありまして・・」


などというマクラから始まる回答が多かったように思うが,自分が採用側だったら,

「企業法務に興味がおありでしたら,インハウスローヤーになるという手もあるでしょうし,もっといえば,司法試験を経由せず,企業の法務部などに就職すれば,ザ・企業法務を味わえるかと思うのですが,いかがでしょう」

「そもそも企業法務ってどんなことをするのか,ご存知でしょうか」


などと聞いてみたくなるし,「興味ある分野は何でしょうか」という質問に対して,

「やはりM&Aを・・」


などという回答に対しては,同様に

M&Aの醍醐味を味わうのであれば法律事務所ではなく,投資銀行ですとか,○○などのほうがよいと思うのですが」

「そもそも,M&Aにおける弁護士の役割としてどんなことが期待されているのでしょうか」


などと聞いてみたくなるが,その種のツッコミがなされた場面をみたことがない。


以下,余談だが,昨秋,なかば冷やかしで,とある外資系戦略コンサルティングファーム(かなり有名なところ)の中途採用にも応募してみた。そこにコネと呼べるような知り合いはおらず,ウェブサイトから通常の応募である。年齢が若くなかったこともあり,いきなり○○統括パートナー的なクラスのパートナーとの1対1面接の運びとなった。


「これから1時間ほど,いろいろとお話を伺いたいと思います」と言われ,「まぁ,1時間ぐらいだったら,あっさり終わる感じだろう」などと甘く考えていたら大間違い。始まって5分もしないうちに土俵際に追い込まれ,背中に嫌な汗が流れ始めた。途中で時計をチラリと見ても「まだ20分しか経ってない・・」という感じ。何とか空中分解しないで1時間を終えたが,ヘトヘト。もちろん,不採用。