Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

弁護修習終了

弁護修習が終わって1週間たった。なかなか時間が取れなかったが,ここで軽く総括。


弁護修習中の2ヶ月間,私は何をするにも,常に一つのことを念頭においていた。それは,

修習が終わって,いきなり独立することになった場合のことを想定して,実務を学ぶ


ことである。


弁護士のコア・コンピテンスは,依頼者から挙げられた法律上の問題について,法令上の手続等に則って適切にアドバイスし,また,その代理人として事案の処理を行うことにある。だから,いきなり一人立ちする場合,適切に事案の処理できるかが,最重要である。


だから,そのことを意識するのは当然だが,とはいえ,そうなるためには何年もかかるわけで,2ヶ月という期間で,習得できるわけではない。だから,「事案の処理能力を高める」ことについては一生懸命やるものの,限界があるから,あまり多くを望めない。


事案を処理することは,弁護士業務のバリューチェーンの中核であるが,書面を書いたり,考えたりする以外にも,裁判所を始めとする各所との関わり方,手続の選択と進行も重要である。この点については,すべてを習得することはもちろん無理だが,どういうマニュアルが存在しているのか,わからないときはどういうところへ聞けばよいのか,頼めばよいのかということが少しわかっただけでも大きな収穫だった。


さらに,一人立ちするには,その周辺も重要である。中でも,仕事の入口である営業であったり,バックオフィスのオペレーションも気になるところである。


この点を学ぶには,今回お世話になった事務所はとてもよい環境だった。規模がミニマムで全体を見渡せるし,先生が何も隠すことなく見せてくれたし,私の不躾な質問にも親切に答えてくれた。


「営業」については,複数の事務所の先生に話を聞く機会があったが,各所各様だった。基本的に誰も成功している例だし,各先生の持ち味が出ている感じで,大変参考になった。オペレーションは,基本的に事前に予想していたような内容で,もっと言えば,プロフェッショナルサービス全般において大差ないということがわかった。


・・と,まあ,冒頭に書いたようなことを念頭に置いたお陰で,かなり楽しく,また,あっという間に過ぎ去ってしまった2ヶ月である。2ヶ月は短いかどうか,という議論がある。自分にとっては,この期間は所与のものだし,短いとか,長いとか,あまり感じなかったが,これぐらいのサイクルで実務修習が回って行けば,比較的新鮮な気分を維持しやすいし,思ったより早く1年が終わりそうだと感じた。