Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

就職活動(3)

前回書いたような異常なスパイラルは,司法試験受験者(合格者)だけでなく,法律事務所側にも多大な負担を与えると思われる。


これまでは,合格者の枠内で採用活動が行われたから,マーケットに流れる人材の数は合格者数が上限となる。すなわち,1500名程度。ところが,今年の場合,上限は受験者数(現実には短答試験合格者数)となるから,3000名を超える。


加えて,最近では,大手事務所,渉外事務所等を対象に,セミナー,個別面談案内等の情報をアグリゲートして,登録者に対してタイムリーにメール等で配信するサービスがあるらしい。これに登録しておけば,いろんな事務所に関する,説明会開催情報などが送られてくる(私は登録したことはないが)。


これの威力は絶大だ。ある事務所の知人に聞いた話だが,なにげなく事務所説明会の日程を金曜夜にウェブサイトにアップしたところ,その2分後には応募のメールが届いたという。そして,その後もひっきりなしにメールが届いて,月曜を迎える前に定員に達して締め切ったらしい。まるで人気のライブを予約するときのようだ。誰もが,常に法律事務所のウェブサイトをサーフィンしているわけではないから,この手のサービスがない限り,ここまで極端な現象は起きなかっただろう。


応募の多い事務所では,応募総数がヘタしたら4ケタ近いかもしれない。1万人以上の従業員がいるような大企業ならともかく,せいぜい数百人・数十人規模の事務所では,リクルーティングに割けるリソースは限られてくるから,応募が多すぎて悲鳴を上げているところも多いことだろう。