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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

成績評価

ロースクールにおける成績評価について少し書いてみる。


ロースクールでの成績評価は厳格に行われてなければならない。この「厳格」とは,「厳格な基準が設定されていること」と「その基準を厳格に運用していること」が求められる。


とはいえ,その「厳格」の中身は明らかではない。本学では,成績評価の主要部分を期末試験で占める。そして,たいがいの場合,期末試験に加えてレポートを課したり,小テスト・中間テストを行うが,基本的にはそれらの課題・テストの得点の積み上げによって成績が決まる。


その積み上げ結果が一定のラインをクリアするかどうかで合否(単位を落とすか,とるか)が決まる。その先に,Aになるか,Bになるか,Cになるか,Dになるかは,担当教員の裁量で決まるものの,だいたいの基準はあるようだ。


他校の様子はよくわからないが,本学では成績評価は比較的厳格に行われているという印象を受ける。科目別の成績評価の方法がシラバスに載っているし,実際の評価もほぼその基準を適用している。なぁなぁで単位が取れるほど甘くもないし,厳しい成績評価によって留年を余儀なくされた人もいる。


最近では成績評価に対する異議申立てが増えているという。その背景には,合格後の進路が関係しているようだ。大手の事務所では,応募するにあたって,ロースクールでの成績を提出することが求められるのが通常だし,GPAベースで一次審査が行われている可能性もある。その後に留学する場合にも響くという話を聞いたことがある。そうなると,ただ単に単位が取れるかどうかではなく,BかAかというのも(人によっては)重要な問題だろう。


とはいうものの,個別の科目の合否はともかくとして,AだのBだのに目くじらをたてる風潮が広がるのはあまり感心しない。そういうところに注ぐエネルギーがあれば,もっと別の,というか本番試験のほうに注ぐべきだし,単純にGPAだけで新人弁護士の採用が決まるとも思えないからだ。さらに,個別の科目がAだかBだかの違いが,GPAに与える影響なんて,0.01とか,0.02とか,そんなレベルだし。