Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

ドキュメント新司法試験Day Two

二日目(5月16日)から,論文式試験が始まる。この日は,午前中3時間,午後4時間の計7時間で,全日程を通じて一番試験時間が長い。


試験も二日目ともなれば,落ち着くかと思っていたのだが,短答と論文はまったく別物なので,やはり別の緊張感が生まれてくる。私の場合,試験の3週間ぐらい前から,長時間答案を書いていると,右手親指がしびれるというか,つりそうになるという症状が出ていたため,「もしかして試験中に手が動かなくなったらどうしよう?」という心配があったことも,緊張の原因かもしれない。


やっぱり本番試験というのは特別だった。上記のような右手親指の心配のほかに,私は元来肩こり症で,試験期間中も肩がこって集中力が削がれるのではないか,と思ったが,不思議なことに,論文だけで,17時間,計56枚の答案を書いてもまったく肩こりの症状は出なかった。その代わりに,ふだんは全く気にならなかった場所が痛くなったりした。手に力が入りすぎて,エラく疲れたものの,幸い,「試験中に手が動かなくなる」というほどの危険は生じなかった。


午前中の選択科目(労働法)は,比較的時間に余裕がある。目標どおり,4枚×2問,8枚はほとんどフルに書ききった。しかし,いきなり力が入りすぎてまって,いつも以上に字がきたなくなった。


午後の公法系(憲法行政法)が,今回の試験を通じてもっとも「??」という試験であった。憲法行政法も,書いて欲しいこと,書かなければならないことが,問題文や資料に散りばめられていて,落ち着いてそれを整理すればよいはずなのだろうが,「ホントにこれでいいの?」という不安が尽きない。


もともと,内容はともかく,量で稼ぐ作戦だったので,8枚答案が配布された場合には,7枚ぐらいは書こうと思っていた。しかし,公法系に関しては,あれこれ考えているうちに書き出しが遅くなってしまったり,途中で筆が止まってしまったりして,憲法行政法も6枚目の途中で終わってしまった。


ふだんの定期試験や,友人と行う答練であれば,終了直後にあーだこーだ,という確認ができるのだが,友人とも試験の内容についてはいっさい会話しないことにしており,漠然とした不安感のみを残して帰宅することになった。


実家に着くと,名古屋に着いて気づいた忘れ物(コンタクトレンズ)が妻から届けられていた。封筒の中に長男が書いた

しけんがんばてね


という手紙が入っていた。


翌日は中休みなので,その日の晩は勉強せず,名古屋地区で中継されていたドラゴンズ戦を見て,ゆっくりと過ごす。この日まで3連勝しており,なんとなく「試験が終了するまで勝ち続けてくれないかな」と願をかけてみた(実際,そのまま試験最終日まで7連勝した)。


ところが,予想外にこの日は眠れなかった。というのも,自分の書いた答案に関する漠然とした不安が頭に浮かんでしまったからだ。とはいっても,5時間ぐらいは寝たと思うけれど。


(つづく)