Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

ドキュメント新司法試験Day One

試験は5月15日から始まった。初日は短答式である。


朝起きて間もなく,かなり緊張した。余裕を持って家を出すぎたために,集合時刻の8時30分よりも30分早く,8時ちょうどに会場(名古屋商工会議所)に到着した。


早くついたといっても,することはないし,いたずらに緊張感を高めるだけである。日経新聞の記者が私の横のベンチで座っていた受験生に「1分ほどお話を伺わせてください」と取材を申し込んでいた。


30分経過して,会場に入る。300人ほどの受験生が6部屋ぐらいに分散する。私のいた部屋は80人部屋だった。机は,ごく普通の折りたたみ式会議机で,奥行きがかなり狭い。3人掛け机の両端に座ることになる。試しに揺すってみても意外に揺れないから,論文の際に隣の受験生の振動に悩まされることはなさそうだ。イスもいわゆるパイプイスではなく,思ったより良質である。ちなみに空調も4日間通じて寒すぎず,暑すぎず,受験環境には恵まれた。


本学からは結局,私を含めて5人も名古屋で受験したのだが,同じ部屋には私一人だった。というわけで,部屋の中には知っている人は一人もおらず,完全アウェー。別の部屋には知り合いがいたというのは安心材料だったし,試験が始まってしまえば,知り合いがいようがいまいが関係ない。適度な緊張感が保てたという意味では東京受験を避けてよかったと思う。


監督員の事細かなインストラクションに従って,マークシート用紙に受験番号と氏名を記載し,「受験番号シール」というバーコードが印刷されたシールを貼り付けることになっている。緊張感がピークに達しつつあったので,シールがまっすぐに貼れず,じゃっかん歪んでしまった。とはいえ,はがすと敗れてしまう危険もあったので,そのままに。


いよいよ9時30分から短答式民事系科目が始まった。スタート合図直後は,これまで記憶にないぐらい緊張したので,問題を読んでもまったく頭に入らない。これには参った。やがて落ち着きを取り戻したものの,2時間半,ずっと心拍数は高かったと思う。


問題が70問で,時間が150分だから,だいたい1問2分ペースで進めていく予定だったのだが,緊張感からか,オーバースピードとなった。確か民法が終わった35問終了時点で,60分も経ってなかったと思う。このままだと30分以上余ってしまう。


ちょうどそんな頃,トイレのために席を立つ人が現れ始めた。監督員がトイレの入口までついて行くことになっているので,同時に複数の人が手を挙げると,監督員がやってきて,「今,○人待っているので,少々待ってください」と言われる。私は,たいして行きたくなかったのだが,時間もあまり気味だし,リフレッシュのために,手を挙げたら,「3人待ってます」と言われた。


しかし,「待っていろ」と言われても,なかなか落ち着いて問題を考えることはできない。頭の中では「早く順番こい,こい」としか考えられなくなる。そうこうするうちに,待ち行列が長くなったため,一人の監督員が2名トイレに引率するシステムに変更されたようだ。これにより,私も思ったより早く順番がまわってきた。


結果的に,時間が余ったことにより,序盤の問題の大部分を見直しした。特に最初の数問は夢の中で問題を読んでいたので,「なんで,これを選んだの?」という問題があり,見直してよかった。とはいえ,自己採点してないから,もしかしたら,見直し後の選択肢が間違えていたのかもしれない。


肝心の出来栄えはなんともいえない。昨年と比べて民事系は商法の一部を除いて簡単になったような気もするが,公法系,刑事系は難しくなったように思った。名古屋受験組の友人との意見は合致しなかったが,確実にいえることは「スッキリ」感が出なかったこと。これは本番だから仕方ないか。とりあえず,短答式の発表(6月7日)があるまで,自己採点するのはよそう。


大量の受け控えが発生すると言われていたが,私の受験した部屋では,空席は80席中5席ぐらいだったと思う。率にして6%程度。全国的にみれば,600人ほど受験を控えたらしいので,10%以上の受験生が避けたようだ。こんなチャンスにもったいない。ちなみに,私が見た限りでは,二日目以降に脱落した受験生は見当たらなかった。


初日は5時間半,マークシートに向かった。こういった経験はこれまでもTKCの模試で経験済みなのだが,さすが本番,予想以上に疲れた。肉体的疲労というよりは,気疲れといった感じで,その晩たくさん寝れたので,翌日に疲れを持ち越すということはなかった。


(つづく)