Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

日弁連法務研究財団に対するヒアリング結果

友人に教えてもらって,2月に行われた司法試験委員会の題記の資料を読んだ。


http://www.moj.go.jp/SHINGI/SHIHOU/070207-6.pdf


私はこれを見るまで,日弁連法務研究財団というところによる第三者評価が行われたことを知らなかった。これを読む限り,公に発表されたコメントで,かつ内容的に信頼できるものの中では,かなり本音というか,実態に近い内容だと感じる。


先日,私も不思議だと感じたように,入学者と出願者の差が大きいことが話題になっていたが,この点については,はっきりとしないようで,私のコメント*1とそれほど大差ない内容であった。


私の場合は,当然のことながら,自分の大学のことしかわからないのだが,このコメントを読む限り,制度発足から3年しか経過していないのに,ロースクール間で教育内容,学生の質ともにかなりの差が開いているのではないかと感じる。


報告者も,法科大学院関係者である先生なので,マスコミや予備校などと違って,必要以上にセンセーショナルな表現をすることはないはずだから,控え目に報告していると思われる。しかし,

正規の講義で予備校の教材を利用したりというようなことが見られる。(1頁)


例えば,問題文と全く無関係なことを書いてあるのに対して「優」が付いていたということがあった。そういうのをチェックして適正な評価がなされているかどうかをチェックする。(5〜6頁)


学生のうち,3分の1くらいは箸にも棒にもかからないと言う先生が多い。にもかかわらず不可の比率が多くないということは,かなり問題なのではないかなという気がする。(7頁)


・・という事情は,本学ではちょっと考えられない。


他にも,意外に落第,というか留年者が少ないということが話題になっていた。それは,これまでの大学教員が,留年させることに抵抗がある,といった心理的要因もあるのではないか,という話である。


本学の場合も,ヒアリングの中であったように,「修了できない者は数パーセントのレベル(2頁)」という枠内に入る。これを甘いとみるのか,辛いとみるのかは別として,概して実務家教員(元実務家含む)のほうが,成績認定,単位認定が厳しいという印象を受けている*2。とはいっても,実務家教員じたいが少ないので,「実務家は厳しい」と言い切ることはできないが。


確かに,キッタハッタの世界を経験した実務家であれば,学生の一人や二人,不可をつけたり留年させることに抵抗がないはずだから,上記のような「心理的要因」はなく,研究者教員と比べて相対的に単位認定が厳しくなる,という事象を説明できるかもしれない。

*1:http://d.hatena.ne.jp/redips/20070402/1175522080

*2:ただし,ビジネスローコースは別