Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

実務家教員のスピード感

ロースクールの特徴の一つとして,実務家教員(現役の裁判官,検察官,弁護士)から指導を受けられることが挙げられる。


本学の場合,実務家教員の講義・演習を受けられるのはほとんど3年次のみだった。研究者教員(学者)との違いを挙げてみればいろいろあるが,ひとつ印象に残ったのは「スピード感」である。


例えば,ある実務家教員(裁判官)は,期末試験が終了して1週間以内で100人分採点し,解説講義を行なったうえ,全員に結果を通知した。しかも,個別のコメントシートをつけている。


また,別の実務家教員(検察官)は,講義のときに簡単な起案(難易度が低いという意味ではなく,比較的手軽なもの)の課題を出し,学生が数日後に提出し,翌週の講義のときに,その結果を踏まえて解説と議論を進めた。


正直なところ,自分が書いた答案,レポートでも,1週間もたてば何をどう書いたのか,結構忘れる。だから,このようなクイックレスポンスならば,教育的効果も高まるだろう。


翻って,研究者教員の場合,概してレスポンスが遅い。ひどいものだと,提出しっぱなし,というのもある。仕事が忙しいから,というのがその理由なのだろうが,それは実務家教員も同じである。


仕事でも,報告書なり,提案書を作って上司にレビューを依頼した場合,1週間も梨のつぶてだったら,その仕事はどうでもよいものか,上司の怠慢かのどちらかだ。モノにもよるが,翌朝,その部下が出社した時には机の上にレビュー結果が返ってきている,というのがあるべき姿だろう。


もちろん,実務家教員でもレスポンスが悪かったり,研究者教員でもレスポンスがよかったりするので,一般化することは避けたいが,私が3年間で受けた実務家教員と研究者教員の違いの印象は以上のとおりである。