Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

脱退認めぬ合意

最高裁は,「組合からの脱退を認めない合意は公序良俗に反する」とした。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070202-00000058-mai-soci


さっそく最高裁にもアップされている(最二小判平19・2・2)。


http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070202130836.pdf

従業員と使用者との間でされた同従業員が特定の労働組合に所属し続けることを義務付ける内容の合意が公序良俗に反し無効であり,同合意に違反して同従業員のした同組合からの脱退が有効であるとされた事例


労働法でも,昨年の問題を見る限り,集団的労使関係から1問は出そうであるから,この手の判例はチェックしておいたほうがよさそうだ。また,

労働組合は,組合員に対する統制権の保持を法律上認められ,組合員はこれに服し,組合の決定した活動に加わり,組合費を納付するなどの義務を免れない立場に置かれるものであるが,それは,組合からの脱退の自由を前提として初めて容認されることである。そうすると,本件付随合意のうち,被上告人Y1から脱退する権利をおよそ行使しないことを上告人に義務付けて,脱退の効力そのものを生じさせないとする部分は,脱退の自由という重要な権利を奪い,組合の統制への永続的な服従を強いるものであるから,公序良俗に反し,無効であるというべきである。

・・というように,「脱退の自由」ということが前面に取り上げられていることからすると,憲法の択一などで聞かれないともいえない。