確か9月に,第1回の新司法試験の結果が発表され,おそらくは大学別の合格人数,合格率も公表されることになるだろう。
実現可能性は極めて低いけれど,そこで,大学別科目別の成績も出されればよいのに,と思う。つまり,「民事の第1問,A大学平均xx.x点,B大学平均yy.y点・・」という具合だ。そうすれば,仮に合格率の高かった大学でも,特定の科目について平均的に成績が悪い,というような事実が発覚するかもしれない。一般の関心事としては,「どの大学が合格率が高いか」ということに尽きるから,このような結果を公表することにあまり意味がないと思う。しかし,新司法試験の場合,今のところ予備校依存度も低いようだし,ロースクールの教育内容と,試験の成果はかなりリンクするだろうから,個別の大学の教育成果の効果を測定するという点では意味があると思う。
特に,本学のような小規模校の場合,基本的に一つの科目は一人の先生が担当する。だから,個別の先生の教育成果が比較的明確になる。しかし,こういうことをいうと,必ず「ロースクールでの教育が受験対策に走るようになり,本来の趣旨から外れる」ということを言われてしまいそうだ。しかし,そういう先生方に限って「司法試験はあくまで通過点。ロースクールでの教育は,さらに上を目指しています」ということをおっしゃるわけだから,そんな数値が公表されようとも,恐れるに足らず,のはずなのだが。
確かに,こういった数字が公表されて,一人歩きしてしまうことは危険だし,確かに,受験テクニック偏重への危険もあるだろう。それに,そんな数字をもとに誰かを槍玉に挙げる,などという非建設的なことをしても意味がない。だったら,一般に公表することまではせずとも,法務省から各大学に通知するにとどめ,その結果を各大学でフィードバックの材料として使ってもらえるだけでも大いに意味があると思う。さらにいえば,もちろん,科目別の成績の良し悪しが,すべて大学の授業の進め方に依存しているとはいえない。でも,他の科目と比較して相対的によかったり,悪かったりすれば,教育の成果を評価する上での「一材料」としての意味はあるだろう。
・・と,こういうことを考え始めるのも,ロースクールの教育にまったくコミットしていない先生や,「重要なことはすべて授業で伝えたので,あとは学生諸君のがんばりにかかってる」というような,丸投げ型の先生に対する警告になれば,と思ったのだが,仮にこのような結果が通知されたとしても,そういう先生に対しては「蛙の面へ水」だろうから,やっぱり効果は期待できないのかもしれない。