Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

グループワーク

そういえば最近,このブログでロースクールのネタが登場していなかった。今回は,グループワークについて思うところを少し。


前にも書いたが,3年次になって今までなかったグループワークが急に増えた。というより,必修科目ではすべてグループワークが課されている。まだ総括する段階ではないが,私自身はロースクールで,今のやり方で行うグループワークには少々疑問を感じる。


理由は2つある。1つはフラットな関係ではなかなかチーム作業に向かないという点だ。チームで作業するからには,メンバーの目標意識などを統一し,適切にタスクを分担することなどが重要になるが,そのためには指揮命令関係が重要である。会社で行われる作業のほとんどはチームでの作業になるが,当然,スタッフがいて,スーパーバイザがいて,さらにその上にスーパーバイズする人がいて・・というヒエラルキーが存在する。


学生どうしだと,もちろん上下関係というものはなく,完全フラットである。意思統一がやりにくかったり,互いに遠慮が生じたりすることもあるようだ。指揮命令関係が存在すれば,メンバー間の遠慮とか,好き嫌い,というものを乗り越えられる場合もあろう。幸い,私がこれまで関与したグループワークでは,チームビルディングに苦労したことはないが。


もう1つの理由は,より根本的な問題かもしれない。そもそも,チームで作業をする理由は,タスク量が多いから大勢で分担しなくちゃ,とか,多様なスキルを要する作業だから,専門性を有するメンバーを集めなくちゃ,といったような感じで,チームでの作業を行う必要性が存在するからだ。ところが,ロースクールでのチーム作業は,今のところチームで作業を行う必要性がそれほど高くないものが多い。例えば,準備書面や,弁論・論告の起案,はたまた判例の報告などである。


もちろんこれらの作業においても,メンバー間でディスカッションする過程で理解が深まったりすることもあるし,知恵を出し合うことでよい成果物が作れることを否定するつもりはない。でも,チームで行わなければならない必然性はなく,どちらかというと,発表の機会を均等に与えるためには,人数の都合上,学生を束にしないと時間が足りない,という理由がメインであろう。そうなると,結局,ディスカッションなどはグループで行えても,作業そのものは特定の人に負荷が集中したり,また,無理に分担すると継ぎはぎだらけの成果物にならざるをえなくなる。