Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

出生率1.25

6月1日の発表によると,とうとう出生率が1.25まで下がったようだ(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060601-00000188-kyodo-sociなど)。私の周りでは,村上ファンドの事件と同じぐらい,この話題が出た。


昨日は,前職のメンバーが集まる機会があり,久しぶりに都心で飲んだ。最も若くて30歳,最年長でも35歳,全員男,という11人のサンプルの中で,出席者の子どもの数を合計してみると,8人(さらに出産予定を加えると10人)という状況であった。男をベースに出生率を考えることはナンセンスだが,予定を含めても,決して子どもの数は多いとはいえない。


少子化対策が必要だ,ということはずいぶん前から言われているが,今のところ,政府の対策が功を奏しているとはいい難い。それどころか,「お見合いパーティの支援」など,いささか的外れなプランも見受けられる。


もちろん,結婚しない,または結婚しても子を産まない夫婦に対して何か制裁金のようなものを課することは認められないから,政府ができることとすれば,子を持つ家庭に補助金,医療費免除等のインセンティブを付与するなどのソフトな方法で,国民を誘導することしかできない。現に,こうしたインセンティブの付与は少しずつではあるが,拡大しているように思う。


ところが,この分野の重要性が極めて高いにもかかわらず,インセンティブインパクトは小さい。例えば,児童手当が月5000円,というのは,もらえないよりはもらえたほうがいいに決まってるけれど,月5000円のために,子どもを増やそうとは思わない。しかも,収入による制限があるから,もらえない家庭も多い。


一方で,他の分野では,例えば,一時期盛んだった,教育給付金(正式な名前は忘れた)などは,英会話スクールや,簿記をちょこっと勉強するだけで,最高30万円も支給された。これは強烈なインセンティブになったはずで,私は使いそびれてしまったが,これを使った人は多く,利用者には喜ばれた。もっとも政策目標の達成という観点では大いに疑問だが。他にも,中小企業の雇用助成のための補助金として,1人雇うと最大300万円が使用者に支給されるという東京都の制度があった。前職では,この制度を最大限活用し,「まともに仕事するよりも儲かる」なんて笑い話が出るほどだった。


少子化対策についても,どうせやるなら,上の例のような,というか,それ以上に国民にインパクトのある施策を実現してもらいたいものである。もちろん,お金をたくさんばらまけばよい,といってるのではなく,社会インフラの整備も含め,他の分野よりも優先して資源を投下してもらいたい,という意味である。