Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

少しだけ広い門

題記の記事が本日日経新聞の夕刊に掲載されていた。


要は,本日から新司法試験がスタートした,という内容の記事だが,相変わらず,「法科大学院の終了した者のうち七〜八割と想定」「初年度の合格率は五割前後にとどまる見通し」「当初見通しより下がり,社会人は毎年減少」といった同じ話が繰り返されている。確か今月の16日にも似たような記事があったのだが,なぜか日経は繰り返し同じネタを使うのが好きなようだ。


いくつか受験生のコメントが掲載されていたが,

「大学院の二年間,妻が家族や家計を支えてくれた。(中略)今回で決めたい」(42歳男性)

という話には大いに共感する一方で,

法科大学院行きを決めたのは,あらかじめ見込まれた合格率の高さにひかれたから。こんなはずではなかった」(5回目の挑戦だという28歳男性)

というコメントには疑問を感じる。試験当日にそんなふうに思っているとしたら,かなり危険だと思うし,2年たっても「だまされた」と感じているとしたら,それはとても執念深い人だ。私がロースクール内でみる限り,現状を所与のものとしてみんな精一杯がんばっているし,こんなふうに思っている人は少なくとも今はいない。


ここから先は私の邪推だが,この男性が何気なく,「合格率がもっと高ければよかったのに」というようなニュアンスのひとことをとらえて記者が適当に作り上げたのかもしれない。記事全体の論調に合う部分だけを取り出して編集するのは記者の得意技だし。