Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

フリーバース

新聞で「少子化対策で出産無料化を検討」という見出しが目についたので,興味深く読んだ。


出生率が1.29,東京都に限れば1.0を割っている。ここで敢えてとりあげるまでもなく,かなり事態は深刻だと思う。自分の知り合いを思い出してみても,現在30代前半の女性で,感覚的には平均で子どもの数は1.0人弱ぐらいであろう。首都圏在住者だとその数値は下がる。まだまだこれから産む人も多いだろうけれど,最終的にはやはり,私の周りの人たちでも現在の出生率に近いところに落ち着くのではないだろうか。


そんな中で,フリーバース(出産無料化)は,かなり魅力的な政策の一つである。もちろん,「タダになるんだったら産んでみるか」みたいな発想のもとに子どもがわらわらと産まれてくるわけはない。しかし,出産後に残った貯蓄額やその後の出費を見ながら,「我が家の経済力では,とてもふたりはムリ」という家庭は減るかもしれない。


しかし,この政策も中途半端に案として掲げるだけでは逆効果だろう。もちろん,上述のように「タダになるなら産む」という人はいないだろうけれど,「あと半年待てばタダになるんだったら,少し待とうかな」という人はたくさんいそうだからである。だから,「もうすぐか,まだか」と思わせて検討から実現まで何年もかかっているうちに,チャンスを逃してしまう人が出てきてしまって,挙句の果てにフリーバースじたいがボツになったりすると,誰も嬉しくない結果になる。


・・・なんてことを考えていたら,「出産無料化,猪口氏独走,安倍長官ら即座に否定」なんて記事も出ているのを見つけてしまって,やはり今後も紆余曲折がありそうだ。逆に出生率低下(出産差し控え)なんて皮肉なことにつながらなければよいが。