新司法試験の論文試験では,公法系:民事系:刑事系:選択の配点比率は2:3:2:1である。この比率と,ロースクールでの2年間の単位数の比率を比較してみた。
2年次までに未修者が取得する単位数は以下のとおりである(演習など,複数分野にまたがるような科目については,その授業の内容に基づいて私の主観で単位数を配分した)。
科目 | 単位数 |
---|---|
憲法 | 6.7 |
行政法 | 5.3 |
民法 | 15.3 |
商法 | 8.0 |
民訴 | 6.7 |
刑法 | 6.7 |
刑訴 | 5.3 |
選択(労働法) | 4.0 |
その他 | 9.0 |
そうすると,公法系,民事系,刑事系,選択の比率は,単位数ベースでいくと12:30:12:4となる。もちろん,3年次の履修によってこの比率は異なるが,これまでの状況をみる限り,司法試験対策としてみると,本学では民事系にそうとう偏っていることがわかる。
一方,選択科目の比率がとても低い。全体の8分の1を占める科目であるし,民法や刑法などと違って,既修者とスタートラインが同じであることを考えると,もっと力を入れてよいようにも思える。しかし,見方を変えれば,そんなところに力を入れてしまって,民法や刑法で一層の実力差が出てしまっても困る。こうして考えてみると,民法,商法あたりはコストパフォーマンスの悪い科目だなあと感じる。
ちなみに,本学では2年次までに4単位を履修できる選択科目は確か労働法だけで,その他の科目(知財,独禁など)は,2単位までしか履修できないし,環境法,倒産法,国際私法は2年次まではゼロである。
「その他」の9単位には,民事執行法,法と心理学,導入ゼミなど,雑多なものが含まれる。確か,「ロースクールにいくと,司法試験と関係ない科目の勉強ばかりさせられるから,害が多い」なんて話もどこかで聞いたことがあるけれど,少なくとも2年次までをみる限り,単位数ベースで67分の9だから,13%程度である。もっとも,予復習,試験の負担がぜんぜん違うから,時間ベースでみればおそらく5%を切っているだろう。そう考えると,「その他」科目も息抜きのレベルとしてはいい感じである。