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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

3000人の根拠

司法制度改革の一環として,ロースクール制度が発足し,司法試験の合格者数の目安を年間3000人程度とする,ということはよく知られている。しかし,この3000人という数字に,一応の根拠があることを法社会学の講義の中で知った。


(1)まず,日本に必要とされる弁護士の数を算出する。ヨーロッパの中で弁護士が比較的少ないといわれるフランスを参考にして,日本の人口に換算すると10万人ほどが必要だとされた(ちなみに,現在の日本は確か2万人少々)。


(2)弁護士には定年がないが,実働年数は40年ぐらいだと仮定すると,10万人/40年で,1年あたり2500人の弁護士が誕生すれば,適正とされる10万人を維持できる。


(3)司法試験合格者には,裁判官,検察官も含まれ,また,弁護士業務に就かない人もいるから,3000人ぐらい毎年合格させる必要がある。


と,こういう理屈。でも,司法制度改革によって,弁護士を増やしたとしても,この計算だと,3000人合格時代になって40年かからないと,目標となる10万人に到達しないのでは(それにしても,スローな改革である)。しかも,一気に合格者を増やすのはいろいろと難しいから段階的に増やすことになるし(我々が受験する年で確か2000人少々),そうなると,目標達成はさらに遅れる。


まあ,この計算も大前提となる10万人が正しいかどうかわからないけれど。