Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

ロースクールの演習科目

題記のテーマについて,他のブログでも触れられているのが見かけられるが,概して否定的なコメントが多いと感じられる(まあ,授業を礼賛する内容なんてふつうはブログに書かないから当然かもしれないけれど)。


ロースクールの授業,とひとくちにいっても,大学ごと,さらには担当教員ごとにやり方が異なるから一概に有益,無益を論じることはできないのだけれど,本学の演習系の科目については,自分としての取り組み方について,いまさらながら最近,いちおうの結論が出した。


結論からいうと,「演習科目は授業時間そのものがもっとも有益であり,予習に時間を掛けすぎるのは得策でない。予習はできるだけ手を抜いて,別で有益な時間を使おう」というごくありふれたもの。その結論に至る経緯や考えたことは,整理していないが,以下のとおり。

  • 演習科目で指定されるケースブック等の設問は決して着眼点は悪くなく,こうした問題を考えることは有益
  • ただし,設問の難易度が高く,しかも多数の論文,判例が参照されていることが多い
  • 授業中に指名されて恥をかかない程度に準備しようとすると,予習だけでえらく時間がかかる(科目によっては,90分の科目の準備に6〜10時間かかることもある)
  • 論文,判例に目を通していると,知らぬ間に「設問に対する解答ズバリ箇所」を発見して満足しているだけ,という状況に陥る
  • 授業に臨むと,他の学生の発言内容や,先生の解説が自分のノートの記述とほぼ一致していることを確認して安心,という無意味な時間になりがち
  • 結果的に知識の習得には有益だが,効率が悪い
  • また,特定の領域について深く追求するから,網羅性も悪い
  • 一方で,司法試験では基本的な内容について,正確な理解を求められる
  • 上記のような演習の繰り返しでは,たまたま演習で深く考えたテーマについては,プラスアルファの回答ができても,基本的な内容の正確な理解と正確なアウトプットができる可能性が低い


「やっと気づいたの?」と言われそうなことかもしれないが,自分の体験をもって理解できたのは大きいと思う。10月中頃から軌道修正しているが,少しの予習時間であっても授業は十分乗り越えられる。