Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

注文その2

この前の続き(前回はこちらを参照→9/5, 9/6)で,テーマその2として「PCリテラシ」を取り上げようと思う。


ロースクールでは,先生が手ぶらでやってきて一方的にしゃべりまくって終わり,という授業はあまりない。たいがい,ワープロソフトで作成されたレジュメを配布したり,プロジェクター等でスライドを映したりする。

パワポのスライド

そもそもスライドを使う先生は少ない。「あれはよくないね,私は好きではない」という先生もいるぐらい。たまたまかもしれないが,私が受けた講義の中では,スライドを使う先生の講義のほうが相対的に印象がよい。これは,スライドを映すことによって,演壇の裏に隠れることができなくなり,ラポールが取りやすくなるからかもしれない。


しかし,パワーポイントのスキルとしては,率直に言ってコンサルティング会社の入社3ヶ月の新人よりもレベルが低いと思われる。「機能を知ってる/知らない」というレベルと,そこから一歩進んで「ビジュアル化することの意味」というレベルがあるが,いずれも不十分だと感じる。

ワープロによるレジュメ

先生方は,論文等を書くことにおいては専門家であり,「なるほど,こう書くとわかりやすい」と感心することが多いのだが,なぜか講義で配布されるレジュメを見ると体系的,論理的に考えられてないのではないか?と疑いたくなることがある。


例えば,インデント。やたらと階段状に文字がずれていたりして,同じインデントレベルにおいても書かれていることの記述のレベルが合っていないことがある。また,ナンバリングをつけるにしても,番号が重複したり,欠番があったり,番号のルールが統一されてなかったり(ローマ数字,漢数字,丸数字など)。文書の途中から意味なくフォントや文字サイズが変わってしまうなどの不可解なこともある。


今のワープロソフトは単なる原稿用紙の代わりにとどまらず,こうしたスタイリングを設定によって自動的にやってくれるのだが,間違いなくそうした機能は使っていない。


こういうスキルは,組織,チームで作業をしていると,回りから教えてもらったり,他人の作成したファイルからテクニックを盗んだりすることで自然に体得していくものだが,全てにおいて個人プレーである大学の先生たちは,あまりこういうスキルの習得に熱心ではないようだ。


とはいえ,ただでさえ難しいことを勉強しなければならない学生たちのことを考えて,ドキュメントの見栄えで悩ませることは勘弁して欲しい。