Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

注文その1の2

昨日の続きということで(前回はコチラ),先生方への注文のテーマ1(「先生のプレゼンテーション」)の第2回。

ラポールの取り方

ラポール」というのは相手との波長を合わせながら,共感が得られるような関係のことを言うんだったと思う。まず,ラポールを取りなさい,と教えられる。といっても,ここでは話術などのレベルではなく,もっと表面的,技術的な話からスタートする。


大勢の前に立つと,どうしても自らを防衛本能が働き,何かシールドが欲しくなるようだ。その点,演壇は格好の防御壁になり,その背後に立つことで話者は安心する。しかし,そこに隠れていては聴衆との距離があり,ラポールは取れない。演壇を使わなくても,人前で話すときに手を前で交差したりするのもNGのようだ。


上手な先生は,演壇の背後にはほとんど立たない。身振り手振りが多く,学生との距離を短めに取る。一方で,ラポールが取れてない先生の場合,座っていることが多い。しかも,演壇の陰に隠れるように座っているから,肩から上からしか見えない。これでは学生も吸い込まれるように授業に集中することは難しい。

間の取り方

次に,「間の大切さ」を教えられる。話者は一瞬の静寂を恐れるあまりに,無意味な「えー」「あのー」といったfillerが繰り返し挿入される。これが聞き手にとっては単なるノイズであり,理解の歩留まりが悪くなる。


実は,話者にとっては長い,と感じられるような3〜10秒ぐらいの沈黙も,聞き手にとってはそれほど違和感はない。上手な人は,fillerをあまり使わない。ここでも,問題ありだな,と感じる先生の場合には,ひたすら「えー」を繰り返す。話している間は,1秒の間すらない。ときには,特に重要な部分でもないのに,直前に話したフレーズごと繰り返したりする。


ラポールやfillerといった話は,第三者に指摘されないとなかなか気づかない。そして直そうと思ったらそれを意識しないとまず直らない。不思議なことに,こうした細かな弱点を除去していくだけで,聞き手にとってはずいぶん心地よくなるし,他でも応用が利く技術だと思う。


プレゼンテーション各論はとりあえずここまで。こんどはPCリテラシについて書こうかと思う。