Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

教室の設計

しばらく前のこと。ある授業中に,先生がおもむろに「みなさん,この教室,不便じゃないですか?せまいですよね」と言い出した。


「実はこれ,いちおう私が設計した,というか,案を出したんです」と続ける。ちなみに,この教室のレイアウトは多くの学生にとって満足いくものではない。なにせ一人ひとりの座席が狭い。昔のように手ぶらで授業を受けに来て,机に伏せて寝る場所さえあればよい,というわけにいかず,授業中はノートPC,六法,教科書,配布資料等を広げようと思うと,圧倒的に場所が足りない。


先生は,「机の奥行き60cmは必要だ,と思ってそうお願いしたんですが,できてみてビックリしたんです。つまり学生数に比べて場所が狭すぎたんですね。結局,部屋の大きさに合わせて作ったのでこんな大きさになってしまったんです」と。


正確に測定したわけではないが,奥行きは45cmほど。もちろん,椅子に座って足は組めない。幅は60cmぐらいだろうか。足元にはカバンすら置けない。しかも,今年できたばかりの建物だから,そう簡単に什器類を入れ替えることもできないだろう。


独立行政法人とはいえ,税金を投入して作るんだったら,そこまで無計画で,利用者の視点に欠けているのはやはりかなりの問題でしょう。ビジネスの世界だったら,利用者が「不便ですねえ」といったときに,供給側が「私もそう思ったんですが,別の業者の都合で仕方なくそうしたのです」などと答えたら,誰もそのサービスを利用しなくなるだろう。


各席までAC電源とLANの口*1がきているなど,気を利かせた設計になっている面もある。でもこれから何十年も使うんだから,もったいない。もう少し考えて欲しかった。

*1:無線LANも使えるので,実際にケーブルを差して授業中に有線LAN使っている人は見たことがない。このあたりも残念。